怪談に至るまで Vol.2
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怪談に至るまで Vol.1に続いて
鈴木 世界が不確かである、という感覚について考えると……適切な対比か分かりませんが……実話怪談本の対極にあるのって自己啓発本なんじゃないかと思っているところがあって(笑)(…)本をたくさん読むことは、いろいろなことが分かるということではなく、むしろ分からなくなること、というような言い方があります。
蛙坂 まさしく。その通りだと思います。
鈴木 その意味で、怪談みたいな、意味とか目的が一見ないものって……この世界に向き合う上で大事かもしれないと思っていて。だから私は怪談というものが好きなのかもしれないな、とそこまでいま考えてしまいました。
蛙坂 怪談は、「こういうことしたからこうなったんだよ」みたいな因果論めいたものの対極にあるべきじゃないかと考えているんです。僕は、因果だけで物事を考えていくとどんどん世界は狭まっていくと思っていて。その中で怪談というもの……文学でもいいですけど、それに触れていくことによって、世界は広くなっていくものなんじゃないかと。
といったところで、この話に移行していきたいと思いますが……「あ、オレこの世界のこと分かっちゃった」と思うことの危険性の話ですよね。
(『怪談に至るまで Vol.2』, p87~88, 蛙坂須美×鈴木捧 文芸としての実話怪談に至るまで 第三部 )
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